アニメに見る日本の雲、欧州の雲

今期アニメは「雲」の描写が熱いかもしれない。
具体的には『アウトブレイク・カンパニー』と、
ワルキューレ・ロマンツェ』を見てそう思いました。
日本的なモサっとした雲ではなく、サーっと広がっていくような欧州的な雲。



アウトブレイク・カンパニー』6話
絵コンテ:高橋丈夫 演出:小林浩輔
作画監督:出野喜則、千葉充、新田靖成(総)

OBC』6話、サッカー回(殺ッカー回)でしたが、
野外の描写が煽り多めで空を見せる構図が多く、
雲の広がりを感じさせる開放的な景観が印象的な回でした。
こういった雲には日本的ではなく、どこか欧州染みた印象を受けますね。
異世界の話ではありますが。)
日本の雲と欧州の雲、その描写にはどういった違いがあるのでしょうか。



アウトブレイク・カンパニー』7話
絵コンテ:及川啓、演出:岩崎光洋
作画監督:川島尚、高原修司、重本和佳子
総作画監督枡田邦彰、山崎正和、村山公輔、豆塚隆

この回は慎一とミュセルが異世界から秋葉原にやってくるということで、
日本的な雲が見れるやもしれない!という期待があったのですが、
ぱっと見、景観はたしかに日本であり秋葉原であるのですが、
空・雲に注目して見ると違和感を感じなくもないと言いますか…。
異世界の雲を使いまわしているのかなー。
日本の雲はこんなに広がりがあって青々しくて綺麗でしたっけ?
……いや日本の雲も私は好きですけど汗



ワルキューレロマンツェ』6話
絵コンテ・演出:大野和寿
作画監督山田裕子、実原登、猿渡聖加

『ワルロマ』は正真正銘、舞台は欧州ですので、
そこで描かれる雲も紛うことなき欧州雲のはず。
雲が広範囲にわたってぱーっと流れるように広がっているのが良いですよね。
これは欧州雲っぽい。綺麗ですよね綺麗。
少なくとも日本で見られる雲とは違った印象を受けます。


調べてみると、日本と欧州とでは雲の高さが違うようで、
欧州の方が1000mくらい低い位置に雲が出来るみたいなんですよね。
だから、イギリスとかに行った事がある方は実感として
「雲が地上に近く感じる」と思うことがあるみたいです。
そういった感覚の違いがアニメでも見て取れているのかもしれないです。



きんいろモザイク』1話
絵コンテ・演出:天衝
作画監督大河原晴男、谷拓也

イギリスと言ったら『きんモザ』ですが、
ところどころ雲が低い感じが出ているように思います。
雲の数はそんなに無いですが。
建造物など遮るものがないので、空がぱーっと開けるのがとても快感。
ついつい行ってみたくなります。……そんな余裕私にはないですがねフフフ。



あの夏で待ってる』1話
絵コンテ・演出:長井龍雪
作画監督:木本茂樹、田中将賀(総)

そして、見よ。これが日本の雲だ。
日本の夏といえば、やっぱり積乱雲ですよね。風流風流。
アウトブレイク・カンパニー』や『ワルロマ』と比べると全然違うのがわかります。



ヨスガノソラ』12話
絵コンテ:高橋丈夫 演出:上田繁
総作画監督:神本兼利

田舎の風景を楽しむアニメこと『ヨスガノソラ』も似た感じ。
下の方からモクモクと、二三雲のごとく立ち上がっていく。
アウトライン(形状)が欧州の雲と違ってしっかりとかたまっているので、
ポジショニングや構図を凝れそうな感じですね。



のんのんびより』1話
絵コンテ:川面真也
作画監督大塚舞、井本由紀

先ほどの2例と違って『のんのんびより』は普通の積雲。
ただし、雲の高さを見ると欧州よりも高そう。雲の数もまばら。
これが日本の田舎の風景だと言われれば、何の違和感もなく信じれるレベル。



ゆゆ式』1話
絵コンテ:かおり 演出:橘正紀
作画監督:まじろ、田畑壽之(総)

都会の春の雲はコントラストが薄くてよく見えない。
雲の配置もまばらで、数も少なくて、シンプル。
そもそも『ゆゆ式』は背景を主張するアニメではなかったですね。
キャラを立てるアニメでしたね。



フラクタル』1話、2話
絵コンテ:山本寛神戸守
作画監督田代雅子田中裕介

未来SFですが、モデルとなった舞台は北欧みたいです。
雲の低さや密度、横にすーっと伸びる様子を見ると、欧州的だなあと思います。



進撃の巨人』1話
絵コンテ・演出:荒木哲郎 演出:田中洋之
作画監督:千葉崇明、江原康之、菊地聡延、服部一郎、浅野恭司(総)

『進撃』も舞台は不明ですが、おそらく欧州でしょう。
密度の濃い雲の群が欧州的と言うべきでしょうか。
1話は特に雲の存在感を強調させるような演出が多かったように思います。
ゆったりと流れる雲の動きに時間が停滞するような感覚と、
何か不吉なことが訪れる予感をさせるように思いました。


いずれにしましても、アニメにおける雲の描写ということで、
日本、欧州、異世界で描かれ方が明確に違うというお話でした。
OBC』と『ワルロマ』にはそこに気付かせるきっかけを与えられたように思います。
今後もこの2作には注目して見ていきたいと思います。話自体もとっても面白いですし。
あーなんだかヨーロッパに旅したくなってきました。
いつか行ってみたいですな。
アニメがきっかけで舞台になった場所に行きたくなるのってなんか凄いよなあと思います。
それだけ作品のクオリティが上がっていて、心動かすものがあるってことですよね。
アニメの雲描写が原動力になって旅に出るという何とも妙な話ではありますが笑。