『四月は君の嘘』最終話の演出を語る

脚本:吉岡たかを 絵コンテ・演出:イシグロキョウヘイ 演出:黒木美幸 作画監督:奥田佳子、河合拓也、野々下いおり、高野綾、小泉初栄、伊藤香織、高田晃、浅賀和行(演奏)、愛敬由紀子(総) Aパート。バラード第1番の起伏ある曲調に沿う形で、明暗入り…

『四月は君の嘘』21話の演出を語る

脚本:吉岡たかを 絵コンテ・演出:倉田綾子、柴山智隆 作画監督:野々下いおり、小泉初栄、門之園恵美、高野綾、河合拓也、ヤマダシンヤ、浅賀和行(演奏)、愛敬由紀子(総) Aパート、公生がかをりの見舞いに行くシーンの演出を見ていきたいと思う。ここ…

『四月は君の嘘』20話の演出を語る

脚本:吉岡たかを 絵コンテ:神戸守 演出:矢嶋武 作画監督:野々下いおり、小泉初栄、河合拓也、ヤマダシンヤ、高野綾、薗部あい子、奥田佳子、加藤万由子、郄田晃、藪本和彦、浅賀和行(演奏)、愛敬由紀子(総) 雰囲気が変化していく描写は演出が担うと…

『四月は君の嘘』19話の演出を語る

脚本:吉岡たかを 絵コンテ:井端義秀 演出:こさや 作画監督:小泉初栄、野々下いおり、高野綾、ヤマダシンヤ、河合拓也 演奏作画監督:浅賀和行 総作画監督:愛敬由紀子 カット割りは、台詞に対して「適切な絵」をつけていくものだが、では、話し手にカメ…

『四月は君の嘘』16話の演出を語る

脚本:吉岡たかを 絵コンテ・演出:黒木美幸 作画監督:ヤマダシンヤ、野々下いおり、小泉初栄、三木俊明、浅賀和行、高野綾(総) 16話。入院中の宮園かをりは一日だけ外出する許可をもらい、通学路で会った有馬公生とともに散策に出かける。病状を悟られま…

『SHIROBAKO』16話の演出を語る

脚本:吉田玲子 絵コンテ:倉川英揚 演出:太田知章 作画監督:川面恒介、大東百合恵、川村夏生、佐藤陽子、今泉賢一、朱絃沰、関口可奈味(総) 16話。井口がキャラデザ修正に「煮詰まる」回。演出も彼女が中心となるように組まれる。特に「誰を映すか」と…

『四月は君の嘘』13話の演出を語る

脚本:吉岡たかを 絵コンテ・演出:倉田綾子 作画監督:野々下いおり、浅賀和行(演奏)、愛敬由紀子(総) 『君嘘』13話はカメラワークでムードを出していくようなところがある。 最初はカメラを動かさず、ムードが出てくるところでカメラを動かす。そのよ…

『ユリ熊嵐』1話、2話の演出を語る

紅羽と純花は基本「シンメトリック」にレイアウトされる。 たとえば花壇のシーンでは、このようなシンメトリーのレイアウトをマスターショットとして採用している。 わざわざシンメトリックな背景を用意し、わざわざシンメトリックにフレーミングし、わざわ…

話数単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選

ルール ・2014年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。 ・1作品につき上限1話。 ・順位は付けない。 集計サイト様 「話数単位で選ぶ、2014年TVアニメ10選」参加サイト一覧: 新米小僧の見習日記 以下、放送日順に、簡単なコメ…

『大図書館の羊飼い』9話の演出を語る

脚本:藤咲あゆな 絵コンテ、演出:山内重保 作画監督:小林利充、三島千枝、鎌田均、飯飼一幸、齋藤育実(総)、藪本和彦(総) というわけで9話。山内回。毎度おなじみの「アップショット」「斜め」「山内カラー」といった演出が盛り沢山であった。話とし…

『四月は君の嘘』6話の演出を語る

6話は澤部椿の孤独を描く。彼女は有馬公生と宮園かをりの幸福を願い、一歩引く。彼女はそうして自分の本心に嘘をつく。 6話では、そういった一歩引いた「距離感」をレイアウト(人物配置)に落とし込む。 つまり、上の図のように ・1レイヤー(横の構図)は…

『四月は君の嘘』5話の演出を語る

5話は「顔をちゃんと映さないカット」が多かった。 こんなふうに、目から上を切ったり、目元をアップで映したり…。なぜそうするのか。ただ撮り損ねただけ?もちろん、そんなわけではない。それは、「味がある」からやっているのだ。 脚本:吉岡たかを 絵コン…

アニメOP演出試論 ―映像が刻むビート― 後編

ダッチアングルと動線 構図の三大要素はショットサイズ、フレーミング、アングルだ(と管理人は思っている)が、そのうち被写体の動線(動く方向・軌道)に深く関与するのが「アングル」である。具体的に述べると、水平ショットは静的だが、ダッチアングルは…

アニメOP演出試論 ―映像が刻むビート― 中編

演出的アクセントが刻むオフビート 演出的アクセントとは、急加速や急減速、急停止といった急速な演出のことをここでは指すことにする。それらは静止的あるいは等速的な状況に対し、アクセントとなって機能する。そして、それを楽曲のアクセントであるオフビ…

アニメOP演出試論 ―映像が刻むビート― 前編

アニメOPでは、演出が楽曲に対していかに上手く音ハメできるかという点がひとつの要になってくると思う。たとえば「リズムに合わせてカットを割れているか否か」でOPのテンポ感も変わってくるだろう。となると、問題は「どう上手く割るか」という点だ。 たと…

会話シーンにおける人物配置

アニメの会話シーンにおける人物配置にはおもに2パターンある。「対面」か「横並び」かだ。 対面だといかにも喋っています感があって、どちらかというと横並びの方が自然体に見える気がする。構えていない感じというか。では、横並びの方が対面よりも良いか…

『トライブクルクル』2話の演出を語る 後編

3.主観化する背景 ・主観化する背景 ロングショットが主観化すれば、背景ショットも主観化することがある。たとえば、感情的なシーンでよく見られる「背景にカメラを逃がす」といった演出。そうして映った背景には「状況説明用の背景」以上の意味があるの…

『トライブクルクル』2話の演出を語る 前編

『トライブクルクル』2話が面白かった。ストリートダンスを題材とする本作だが、毎回レイアウトや演出の質が高く、見ていて楽しい。中でも2話は他の話数とはひと味違い、ヒロインの女の子がダンスをやめようかと悩む話だったのだが、物憂げなニュアンスを演…

『野崎くん』に見る四コマアニメの原則 後編

目次 前編 四コマアニメの大原則 1.四コマ漫画⇒アニメの原則 2.ギャップで「四コマ目」をつくる 3.ギャップの具体例 4.四コマ目にならなかった四コマ目 中編 『野崎くん』の四コマ的表現 5.BGMは四コマ毎にだいたい1回流れる 6.四コマ目のカット…

『野崎くん』に見る4コマアニメの原則 中編

目次 前編 四コマアニメの大原則 1.四コマ漫画⇒アニメの原則 2.ギャップで「四コマ目」をつくる 3.ギャップの具体例 4.四コマ目にならなかった四コマ目 中編 『野崎くん』の四コマ的表現 5.BGMは四コマごとにだいたい一回流れる 6.四コマ目のカ…

『野崎くん』に見る四コマアニメの原則 前編

『月刊少女野崎くん』には「四コマ目」っぽいカットというのが頻繁に出てくる。 例えばこのカット。いかにも「四コマ目」っぽいカットだ。原作が四コマ漫画なので当たり前といえば当たり前なのだが。ちなみにこのシーンは原作1巻15ページの四コマ目にあたる…

そのとき、なぜカメラは動くのか?−アニメにおけるPANワーク・TU/TBワークの整理−

大半のアニメにはカメラが動く瞬間というのがある。 Fix主義っぽいアニメでも、 重箱の隅をつついてみると意外とカメラが動くカットが見つかったり…。 ことPAN・TU/TBに関しては重要な局面で使われることも多い。 そこには何かしらの演出意図があるように見…

アニメOPEDの“スピード感”

ノリの良いオープニングには“スピード感”がある。 楽曲に合わせて映像が流れていく快感は本編では味わえない特別なものだ。 今期だと『ノーゲーム・ノーライフ』のOPとか、スピード感があってとても良い。 オープニング映像というのは基本的には そういった…

『キャプテン・アース』3話と『ラブライブ』2期OPに見る演出の共通点 シンメトリー構図のわかりやすさ

『キャプテン・アース』3話の演出について。 ぱっと見て、よくわかるレイアウトというか、 その場の状況を把握しやすいレイアウト・人物配置だなあと思った。 脚本:榎戸洋司 絵コンテ・演出:京極尚彦 作画監督:斎藤英子 メカ作画監督:長野伸明 絵コンテ…

『たまこラブストーリー』の美意識 山田尚子監督の美意識

ちょっと遅れたけれど、ようやっと見れた『たまこラブストーリー』。 率直な感想。面白かった。非常に面白かった。 当分、青春映画は見なくていいと思えるくらい面白かったです。 美しい、けれど切なくて胸が詰まる青春の一ページ。 ノスタルジックにキラキ…

アニメにおける間取りの工夫〜オープンキッチンの魅力に迫る〜

私たちは日々の生活の中で、 意識的にも無意識的にも自宅の間取りというのを気にしながら生きている。 アニメ(や映画、漫画)の世界ではどうだろう。 間取りが良い家。そこでゆったりとくつろぐ登場人物の姿を見て、 視聴者も自然と居心地の良さを感じるよ…

コメディができる「私TUEEE系」とコメディができない「俺TUEEE系」

管理人は女性主人公が敵を無双するタイプのギャグアニメが好きだ。 やりすぎなくらいに無双するタイプのギャグアニメが好きだ。 例えば『パードル』とか『スーチーパイ』のOVAとか。 主人公ら当人は大して苦労もせず、 敵ばかりが辛酸をなめ続ける。 毎度毎…

『凪のあすから』19話に学ぶカッティング・ノウハウ

アニメをつくる上で、演出をする上で、 構図をどうするかという問題と同じくらいに大切、 いやそれ以上に大切で大変かもしれないのが カッティングをどうするか(カットをどう繋げていくか)、という問題である。 例えば、ダイアローグ(会話)のときに いつ…

長井龍雪が描くOP/EDの演出的魅力 その2

前記事のつづきになります。 今回取り上げる作品は ・『とある科学の超電磁砲S』ED2(2013年) ・『とある科学の超電磁砲S』ED1(2013年) ・『マギ』OP1(2012年) ・『ココロコネクト』ED1(2012年) の4つ。

長井龍雪が描くOP/EDの演出的魅力 その1

OPED職人として名を馳せられている長井龍雪氏。 (いや、ここは敬意を表しOPED職人として「も」、と言うべきですね) 今年に入ってから立て続けにOPEDの演出を担当されており、 お目にかかる機会も多いと思うのですが、 どの作品においても、いつも通りの「…