美術監督 吉原俊一郎が描く空、雲
これまでにあまり前例はないのかもしれませんが、
アニメを作画や演出で見るように、
アニメを美術監督で見てみるという試みも面白いかもしれません。
たとえば、小林七郎さんや山本二三さんは見てすぐにこの人だとわかる。
そんなふうにして、美術に関する目利きになれれば、
アニメの楽しみ方もきっとふくらむことでしょう。
今期は知っている方なら言わずもがなでしょうが、
美術監督の吉原俊一郎さんが活躍されているクールであります。
吉原さんといえば、『進撃の巨人』や『ワルキューレロマンツェ』で
特徴的な雲を描かれている方であります。
(参考:アニメに見る日本の雲、欧州の雲 - OTACTURE)
そこで、当記事では吉原さんの描く空・雲に焦点をあてて見ていきたいと思います。
『ワルキューレロマンツェ』(2013年)
監督:山本裕介
美術監督:吉原俊一郎
『弱虫ペダル』(2013年)
監督:鍋島修
美術監督:吉原俊一郎
『IS <インフィニット・ストラトス>2』(2013年)
監督:菊地康仁
美術監督:吉原俊一郎
今期は『ワルロマ』、『弱虫ペダル』、『IS 2』の3作品を担当されています。
どの雲描写も特徴的で、
恐らく高層雲や巻雲をベースとして描かれているのかなあと思うのですが、
ぱっと見た瞬間に、吉原雲だ!(命名:私)となりますよね。
それくらいに見た目のわかりやすさ、インパクトがあります。
『進撃の巨人』(2013年)
監督:荒木哲郎
美術監督:吉原俊一郎
『進撃』の雲も似たような感じ。
作品に合わせて微妙に変えていたりもするとは思うのですが…。
雲と空のコントラストが綺麗だったり、
雲の色が単色じゃない、色々な白を使っているのも特徴かもしれないですね。
『アクエリオンEVOL』(2012年)
総監督:河森正治 監督:山本裕介
美術監督:吉原俊一郎
『マクロスF』(2008年)
総監督:河森正治 監督:菊地康仁
美術監督:吉原俊一郎
『EVOL』、『マクロスF』と2008年まで遡ってみても
吉原雲はしっかりと健在ですね。
スタッフを見ると、河森監督や菊地監督、山本監督、鍋島修監督との作品が多そうです。
吉原さんが美術監督を担当された作品のリストをつくってみました。
古くから活躍されている方だったんですね。
<作品リスト>
1996年
BLUE SEED2(第3巻)
1997年
でたとこプリンセス、VIRUS -VIRUS BUSTER SERGE-
1998年
ヨコハマ買い出し紀行
1999年
逮捕しちゃうぞ the MOVIE、映画 アキハバラ電脳組 2011年の夏休み
2000年
劇場版 ああっ女神さまっ
2001年
スターオーシャンEX、Spirit of Wonder
2002年
G-onらいだーす、超重神グラヴィオン
2003年
魁!! クロマティ高校
2004年
テイルズ オブ ファンタジア THE ANIMATION (2話)
2005年
ガラスの仮面 <新>
2007年
地球へ… TOWARD THE TERRA <テラへ…> 、創星のアクエリオン(OVA)
2008年
マクロスF
2009年
戦国BASARA、聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話、劇場版 マクロスF 虚空歌姫〜イツワリノウタヒメ〜、黒神
2010年
IS <インフィニット・ストラトス>
2011年
劇場版 マクロスF 恋離飛翼〜サヨナラノツバサ〜
2012年
アクエリオンEVOL、ZETMAN、ジョジョの奇妙な冒険、伏 鉄砲娘の捕物帳
2013年
進撃の巨人、IS <インフィニット・ストラトス>2、弱虫ペダル、ワルキューレ ロマンツェ
『ヨコハマ買い出し紀行』や『Spirit of Wonder』も担当されていたんですね。
私の大好きな作品じゃないですか。
『ヨコハマ買い出し紀行』(1998年)
監督:安濃高志
美術監督:吉原俊一郎
『チャイナさんの縮小』(2001年)
監督:藤森雅也
美術監督:吉原俊一郎
いずれも2000年前後の作品。
この頃は描き方が少し違うように感じます。
けど良い雲です。
『ヨコハマ買い出し紀行』の夕景に広がる雲なんて
忘れがたい名シーンですよね。
良い雲を見せたいってなったら、
吉原さんに頼む、みたいなのが昔からあったのかもしれません(笑)
雲は他の方も特徴があったりしますので
比較的見分けが利きやすいのかもしれません。
個人的には今期は吉原さんの他ですと
『OBC』と『凪あす』と『COPPELION』の背景が好きですね。
美術監督の知識でしたら、
http://painter-bg.seesaa.net/
というサイトに掲載されている方の名前くらいは知っておきたいなあと思ったり。
では、そんな感じで。