話数単位で選ぶ、2013年TVアニメ10選

アニメブログ界隈では年末恒例行事になっている、
話数単位で選ぶ、2013年TVアニメ10選。
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2013年に放送されたアニメの中から
思い思いに好きな話数を10本選ぶというこの企画。
上記の一覧にあるように、すでに上がっている記事がたくさんありますね。
この要領で私も10本選んでみようと思います。


選定ルール

  1. 2013年1月1日〜12月31日までに放送されたTVアニメ(再放送を除く)から選定。
  2. 1作品につき上限1話。
  3. 順位は付けない。

選出作品(だいたい放映順)

  1. たまこまーけっと』3話「クールなあの子にあっちっち」
  2. 新世界より』第25話「新世界より
  3. あいうら』第1話「前日」
  4. ちはやふる2』第24話「かくとだに」
  5. 『<物語>シリーズセカンドシーズン』第9話「まよいキョンシー其ノ參」
  6. ステラ女学院高等科C3部』第11話「継戦能力既ニ無シ。」
  7. キルラキル』第1話「あざみのごとく棘あれば」
  8. リトルバスターズ!〜Refrain〜』第3話「ずっとここにいたかった」
  9. 革命機ヴァルヴレイヴ』第16話「マリエ解放」
  10. 凪のあすから』第5話「あのねウミウシ

1.『たまこまーけっと』3話「クールなあの子にあっちっち」

脚本:吉田玲子 絵コンテ・演出:小川太一 作画監督:丸木宣明

友達になりたい。けれどいざなろうとすると、どうしても臆病になってしまう。
そんなつかず離れずの関係にモヤモヤしつつも、
そこに青春の懐かしさがあって愛おしく感じられる。
朝霧さんは引っ込み思案な性格だから、友達作りに苦労するのはまあわかるとして、
普段は天真爛漫なたまこまで、朝霧さんの前ではおどおどしていて、
けどその不慣れな感じが逆に良い味を出しているなあと思いました。
友達になる直前の微妙な距離感。
こういったストーリーは吉田玲子さんの手腕によるところが大きいでしょうか。
演出的にも2013年ベストワークだったと思います。

2.『新世界より』第25話「新世界より

脚本:十川誠志 絵コンテ:石浜真史 演出:ナヤトナオミチ 作画監督久保田誓

25話(最終話)で一件落着かと思いきやそうはならないのが『新世界より』。
本来であれば知ることのなかった真実。
それが明かされることで、あえて後味の悪い終わらせ方をさせている。
スクィーラの演説と断罪、バケネズミの正体、そして早季による救済。
真実を知ってなお、世界の仕組みはそう簡単には変えられず、
憎しみと罪の感情を背負って生きていく。
世界との向き合い方。向き合う覚悟を問われた最終話。
時を経て、傷が癒え、早季たちには子供ができ、世代は移り変わっていく。
最後の最後で「家路」を流しながら、
早季が子供時代を思い返すシーンには確かな希望が感じられた。

3.『あいうら』第1話「前日」

脚本・絵コンテ・演出:中村亮介 作画監督:細居美恵子

日常系アニメから選ぶのは一本にしようと思って激しく後悔。
振り返ってみると、今年は日常系が豊作だった。
けど、どうしても選ぶというのなら『あいうら』1話。
今年一番インパクトがあって感動したのはこの話数。
3、4分の短い本編の中に、これが日常アニメだという全てが詰まっている。
作画はもちろん、演出でつくられる時間の間(ま)、
あえてリアルであることを外している背景、
タイミングよく落ちてくる桜吹雪、
そして素人っぽさの抜け切れていない声優の演技。
すべてが噛み合って、しっかりと作品に落とし込まれている。
確固たる世界観がつくられ、そしてキャラクターに命が吹き込まれる。
スタートの1話でそこがしっかりとしていたので、続く話数も揺るがなかった。
日常アニメオブザイヤー。

4.『ちはやふる2』第24話「かくとだに」

脚本:加藤綾子 絵コンテ:宍戸淳 演出:久保山英一
作画監督:永吉隆志、楠木智子、竹本佳子、室山祥子、清水勝祐、相澤秀亮

ちはやふる』史上最高に盛り上がった対戦カード、綿谷新vsクイーン・若宮詩暢。
原作を読んだときからずっとアニメになることを待ち遠しく思っていた。
実際にアニメ化された24話を見ても、手に汗握る展開は原作そのもの。
張りつめた会場の空気、常に落ち着いた雰囲気の新に対して、押され気味の詩暢。
観客による解説が場のテンションをじわじわと高める。
対局の合間に入る新の回想シーンもまた良い。
過去の新と今の新。確かな成長が見て取れる。
ここまで熱い試合が見られるアニメはなかなかないです。名試合オブザイヤー。

5.『<物語>シリーズセカンドシーズン』第9話「まよいキョンシー其ノ參」

脚本:木澤行人 絵コンテ:笹木信作 演出・安食圭
作画監督:新垣一成、山崎淳、熊谷勇也、斉藤和也、長山延好

タイムパラドックスもの。
暦と忍が過去から現代に戻ってきたら、町から人がいなくなっていた。
ゴーストタウンと化した町。そこで何が起こったのかを調べる暦と忍。
そこに突然現れた黒い影の謎の群衆。
廃墟好きには堪らない一本。「一度滅びた世界」という題材も興味をひかれる。
エンドロールで流れるキャストは二人だけ。二人だけで会話し続ける。そこも良い。
誰もいなくなったスーパーマーケットで食料調達もお決まりの展開だ。分かっている。
最後に二人だけで花火を楽しむのも儚げな感じがして情緒があった。
ホラーテイストであることも含めて、夏になるたびに見返したくなるであろう一本。

6.『ステラ女学院高等科C3部』第11話「継戦能力既ニ無シ。」

脚本:加賀未恵 絵コンテ・演出:島崎奈々子、越田知明
作画監督:佐野聡彦、橋口隼人、大村将司、日下岳史

大和ゆらがゲームセンターに入り浸るところまで堕ちる回。
一番精神的にすり減っていてメランコリーでクレイジー
ここからゆらがどう立ち上がるか、あるいは立ち上がれないのかが見どころの話数だった。
一方で、C3部の面子がゆらを受け入れられるかという点も見どころだったと思う。
どん詰まりのストーリーに突破口を与えたのが1年生のれんと。ここのシーン、良かったなあ。
ゆらの駄目っぷりは散々描かれてきたが、先輩たちも意外とディスコミュニケーションで……。
成功談を描いた物語は数あれど、失敗談を描いた物語はなかなかない。
そういった点で、誠実にルーザーを描いた物語だったと思う。
中でも特にルーザーが極まっていたのが11話だった。

7.『キルラキル』第1話「あざみのごとく棘あれば」

脚本:中島かずき 絵コンテ:今石洋之 演出:清水久敏 作画監督:すしお

これはもう中島かずき今石洋之コンビしかつくれない。
脚本のはっちゃけぶりに今石演出・すしお作画がノンストップで悪ノリしていく。
最高にアニメをしている。やっぱりアニメってこうでなくちゃと思わされる。
特に1話。「今石パン」に「今石ナメ」、そこにケレン味溢れる作画をかぶせていく。たまらない。
1年に一度出会えるか出会えないか、それくらいに貴重なアニメアニメしている回でした。

8.『リトルバスターズ!〜Refrain〜』第3話「ずっとここにいたかった」

脚本:島田満 絵コンテ:山川吉樹 演出:橋本敏一 作画監督:安野将人、亀谷響子

ループものとしても面白かったが、映像の完成度もこの回は非常に高かった。
特に雪の表現。凍結していくレンズ、淡い色彩、
画面越しにも伝わるほどの凍てつくような寒さ。
それがキャラクターの心情にシンクロしていく。その妙。
そして来ヶ谷さんが涙を流すシーン、ここまで心を揺さぶる表情をアニメで見たのは久しい。
何もかもが儚く、一期一会、一瞬のうちに通り過ぎ、そして同じ日がまた繰り返される。
日常が狂い始める、その前兆を誠実に描いた回。
静かにループが収束していくその瞬間を最高の映像美に落とし込んでいた。

9.『革命機ヴァルヴレイヴ』第16話「マリエ解放」

脚本:大河内一楼 絵コンテ・演出:松尾衡 演出:中原れい
キャラクター作画監督:中島渚、長田伸二 メカニカル作画監督:安藤義信

記憶を失いながらも、
「まだ大丈夫まだ大丈夫」とヴァルヴレイヴの操縦を続けるマリエに胸打たれた。
これまでの思い出と引き換えにしてでも仲間を救おうとする。
仲間たちのことを忘れてしまったら元も子もないのに、
思い出はこれからまたつくりなおせばいいと、戦い続ける。
ロボットの燃料がなくなるだけとかだったらどれほど気が楽だったことか。
けどそうしないのが『ヴァルヴレイヴ』。
その揺るがない残酷さが『ヴァルヴレイヴ』の面白いところ。

10.『凪のあすから』第5話「あのねウミウシ

脚本:岡田麿里 絵コンテ:篠原俊哉 演出:市村徹夫 作画監督:西畑あゆみ

台詞が感情に乗る。これが岡田麿里脚本の真髄。
同じような言葉を繰り返していく。韻を踏んでいくごとに高まる感情。
あかりや美海の奥底にある強い感情を引き出し、脚本の台詞に転換する。その巧さ。
ここまで感情をぶつけ合えるアニメってなかなかない。
もちろん脚本だけでなく、キャストの演技も最高に決まっていた。特に名塚さん。
よく練られたストーリーラインに選び抜かれた台詞とキャストが噛みあった回。
台詞&演技オブザイヤー。



以上です。
今年も良いアニメにたくさん出会えてよかったです。
年内の更新はこれで最後になります。
来年も楽しいアニメイヤーになりますように。


それでは、良いお年を。