【OP演出】手前から奥へ、奥から手前への移動 安藤真裕OPなど
『凪のあすから』のOPが安藤真裕さんでしたが
安藤さんといえば、拳ポリ!メダロット!と数々の名OPを手掛けられてきた方ですが、
近年ですと、『花咲くいろは』OP、まずこれです。
『花咲くいろは』OP2(2011年)
絵コンテ・演出:安藤真裕
作画監督:関口可奈味、石井百合子
特徴としましては(意図的にシーンを抜粋しましたが、それでも)
「奥から手前へ駆けていく芝居」というのが、
最近の安藤真裕OPの主なモチーフとなっているように思います。
『いろは』しかり、『絶園のテンペスト』や『凪のあすから』でもちらほらと見受けられ
それらが印象的なシーンとなっています。
『花咲くいろは』OP1(2011年)
絵コンテ・演出:安藤真裕
作画監督:関口可奈味
OPで走ったり、歩いたりする作品は数多くありますが、
中でもこのような奥・手前の移動というものに限りますと、
その数は限られてくるように思います。
安藤さんが手掛けられたOP群はそのひとつです。
『凪のあすから』OP(2013年)
絵コンテ・演出:安藤真裕
作画監督:石井百合子
今期の『凪のあすから』OPにおいても、歩く・走る要素が盛り込まれていますが、
『いろは』のように「奥から手前へ駆けていく芝居」ではなく、
「手前から奥へ去っていく芝居」に注力されているようでした。
作風の違いでしょうか。同じ岡田麿里脚本ではありますが。
いずれにしても
手前から奥へ、あるいは奥から手前への動きというのは
安藤さんのメインモチーフであると同時に
それが瞬間的に奥行きを感じさせ、OPをより華やかなものにしているといえます。
安藤さんの他で「手前から奥へ去っていく芝居」といえば
連想される方も多いかもしれませんが『あの花』OPがそうでした。
泣く子も黙る長井龍雪OPですね。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』OP(2011年)
絵コンテ/演出:長井龍雪
作画監督:田中将賀
『あの花』に限らずとも、
長井さんは『奥へ去る芝居』というのを頻繁に意図的に用いているように思います。
『マギ』や『とある科学の超電磁砲OVA』のOPなどがそうでした。
『マギ』OP1(2012年)
絵コンテ・演出:長井龍雪
作画監督:錦織敦史、エフェクト作画監督:橋本敬史、総作画監督:赤井俊文
『とある科学の超電磁砲OVA』OP(2010年)
絵コンテ・演出:長井龍雪
作画監督:中村直人
長井龍雪さんについては
個人的にはその芝居術にも注目していきたいなあ、というところです。
安藤さん、長井さんと来て、
「手前から奥へ、奥から手前へ移動する」関連で最後にもうお一方。
山本紗代さんです。
山本さんは落下型です。
『荒川アンダーザブリッジ』OP(2010年)
絵コンテ:山本紗代
演出:龍輪直征、作画監督:山村洋貴
『PSYCHO-PASS』OP1(2012年)
絵コンテ・演出:山本沙代
作画監督:新井浩一
奥から手前に走るとか歩くとかでなく、落下させていくタイプです。
山本さんのOPは、特に近年のものは
重力の方向を画面内で自在に変えているところが特徴です。
恐らく山本紗代さんの頭の中では上も下も関係ないと言いますか、
「私が上だと決めたら下も上になる」と言いますか、
そういった柔軟な発想で作品を作っているのかなあ・・・と思います。
というわけで、
奥から手前へ・手前から奥へ移動する演出でしたが、
こういった演出をする上では当然作画への信頼も厚いはずです。
作画の困難さがあるからこそ、希少な芝居になっているのだとも言えます。
安藤さんに関しては、
ご自身がスーパーアニメーターであるからこそ
こういった演出に絶対の自信を持っているように感じます。
移動過程の難しさもそうですが、安藤さんについては
フレームアウト間際・フレームイン直後の作画に
安藤イズムが潜んでいるように感じます。