ワタモテ1話 大沼心の多角形光・画面分割術について
ワタモテ1話(絵コンテ・演出:大沼心)より。
大沼心さんの多角形光。
歴史的には『夏のあらし!』や『バカとテストと召喚獣』などで使用されています。
他の監督さんですと、岸誠二さんの『人類は衰退しました』などでも
同様の演出が見られました。
奇をてらった演出、ありえないレンズフレア。
これらが独特の世界観を作り出します。
黒木智子の心象世界を表現した演出だと解釈することも出来ますが、
テクニカルな観点で見てみますと、これらの演出のベースにあるのは
いかにして画面を分割するか、というところであるように見えます。
多角形はたくさんの直線から構成されます。
直線がたくさんあるのは、画面を分割する上で大変に都合が良いのです。
『神様ドォルズ』OP(絵コンテ・演出:岸誠二)
岸誠二さんのOPではこういった区切りの直線がよく見られますね。
直線を引いて、画面を小分けにしていくと、
画面が引きしまって見えます。
直線があることで、奥行きが生まれ、自然と視線が誘導されるからです。
画面は様々なモノによって意図的に分割されます。
普通はモノを使いますが、モノがなければこしらえます。
入射光でもレンズフレアでも何でもいいのです。
区切りの線として使えるものはとことん使います。
夕景の場面などで、画面の色合いが統一されている場合は特に、
画面がフラットになりがちなので、
光・影で明暗をつくっていくことが重要になってくるように思います。
ワタモテ1話の場合は、わざと背景の色合いを統一させて情報量を減らす代わりに、
直線光などをたくさん引くことで情報量を増やして、バランスをとっていたように感じます。
人物の移動に合わせて、移動する光と影。
意図的に光と影の位置を移動させています。
明暗の位置や直線の位置に気を使われているというのは
このカットから感じられることだと思います。
曲線をモチーフとした構図
直線をモチーフとした画面作りをされる一方で、
広角歪みを利用して、曲線をモチーフとした画面作りもされておりました。
直線が「安定」を示すのに対して、曲線はどこか「不安定」な印象を与えます。
黒木智子の心象世界に吸い込まれていくような不安感があります。
直線が静的なイメージであるのに対し、
曲線は滑っていく動的なイメージを与えます。
視線誘導も滑って落ちていきますので
直線とは異なり、動的な視線誘導になります。
曲線のギミックは「斜めの構図」などと同様で、
「重力」を想起させますので、従重力的に視線誘導をさせたい時は曲線が効果的です。
そんな感じで、
大沼心さんのワタモテ1話について、思ったところを書いてみました。
・・・狙ったところを拾えていないブロガーですいません。
大沼心を研究したければ、
今期はプリズマイリヤとワタモテがありますので
色々と見比べられて、面白いかもしれません。
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